学校英語できたえられた英文和訳の技術が翻訳にあたってどう障害になるかを、いくつかの例でみていこう。英文和訳の最大の特徴は、原語と訳語を一対一で対応させることだ。原語と訳語を一対一で機械的に対応させる方法がいかに危険かは、基本語のなかの基本語をみていけばわかる。たとえば、英文和訳の世界では、Iは「ない」に一対一で対応すると教えられている。だが、実際にはIと「ない」の間には微妙だが無視できない違いがある。英文和訳ならdonothelpは「助けない」で正解だが、実際には、「足を引っ張る」という意味になることもある。日本語の「ない」がこれとは微妙だが無視できない違いがあることは、「助ける」と「足を引っ張らない」の意味の違い、「助けない」と「足を引っ張る」の意味の違いを考えてみれば理解できるはずである。