買い物、礼儀、お金のことから趣味にまで、家風のちがいはいろいろにあらわれます。そこで、今までの自分の家と婚家先のちがいを理解することからはじめることが必要です。同郷であり同じサラリーマン家庭だったので、家風などあまり重く考えていなかった人が、結婚してすぐのある出来事からゆううつになりました。彼女は夕食に得意メニューを用意してうきうきしていました。おぜんの上をふきながら思わず好きな歌を口ずさみました。少ししてなぜか気まずい空気が流れているのに気がつきました。姑はこわばった顔で無言。その夜、夫は「ごはんの用意をしながら鼻歌をうたうなんて感心しないな」と、不機嫌な顔で言いました。彼女は実家と婚家の雰囲気がまったくちがうのを痛感しました。婚家ではすべて控えめ、大きな声や笑い声は聞けません。「真剣に取り組むべき食事のしたくをしながら、歌を口ずさむなんてとんでもない」ことだったのです。実家はまったく反対で、みんなが言いたことを言い、大いに笑って楽しくやっていました。そこではうきうきと仕事をしながら歌が出るのは自然なことでした。それぞれの家庭のあり方は、まさに千差万別です。よしとするものがちがい、ものごとの興味や関心のあり方がちがう。おかしくて笑う原因もちがうでしょう。読む新聞や雑誌、好むテレビ番組も。神経をつかうことがら、気にしないで放っておくことがら、家族同士の思いやりの表現の仕方もちがうでしょう。政治、宗教についての考え方はある程度近くないと困ったことになりがち。その他もろもろ、ちがいをあげていったらきりがありません。結婚した当初は家風のちがいがひとつひとつ問題に思えるものです。「こんなはずではなかった」との思いがすぐ頭をもたげます。俯におちないこと、腹の立つことがたくさんあります。けれども、あとで考えると、大部分がささいなことで苦しんでいたことに気がつくでしょう。よくよく考えてみてください。その家風に従ったところで、べつだんあなたの人間性がそこなわれるわけではないし、存在を否定されるわけでもありません。
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