自社製品以外「シャネル」と名乗るのはタブー

2011.05.26

襟がなく、羽織る形式のカーディガンのような上着には、ブレードの縁どりがあり、スカートはエレガントだけれど動きやすいひざ丈。ココ・シャネルの発表したこのデザインは婦人用スーツとして人気をよび、シャネルスーツの名でよばれるようになった。パンプスも、爪先部分に別の素材を使ったコンビがシャネルの定番、バッグはソフトレザーにチェーンストラップというように、一目でブランドがわかるものだ。こうしたデザインに似たウェアや小物を見ると、シャネルスーツ、シャネルシューズ、シャネルバッグとついいってしまうが、正当なシャネル製以外のものについてメーカーがこうよぶと、シャネル本社からきついお叱りを受けることになる。あくまでシャネル風であり、シャネルもどきのデザインというわけだ。自社製品以外でシャネルを名乗ってもらっては困るという姿勢は、アパレル業界以外にもつらぬかれる。日本で「シャネル」という名のスナックがシャネル社から提訴され、最高裁では慰謝料を払ったうえ、店名をかえるよう判決がでたし、フランス本国で娘にシャネルと名づけた両親が名前をかえるようにと、本社から訴えられたことがある。世界中の「シャネル」を名乗る店すべてが、「この名は商標登録された固有名詞だから使用禁止」という趣旨の手紙を、まずシャネルから受けとっている。日本だけでも数百件が対象になったという。それでも聞き届けられないと、裁判に訴えるというわけだ。日本の地方都市にある10坪足らずのスナックが、パリ本社の直営店と誰も思うはずはないが、そこまでして自社の伝統を守ろうとするのも、ブランドに誇りがあるから。知的財産権についてあいまいな部分の多い日本では、まだあちこちにシャネルを名乗る店も多く、電話帳などでのチェックがつづけられている。