コインパーキング経営の疑問

2011.06.27

一九九八年までに全国で二万台。直営物件としては、これ以上増やさない考えでいます」その根拠は、次のようになっている。景気が好転した時を想定して、七割がタウン(住宅地区)、三割がシティ(商業地区)駐車場になるように計画しているのだ。この七対三の比率で、平均五1の駐車場になる。専門家は続ける。「そこが目標です。自社の計算だけでは不備な面もあるだろうと考え、野村総研(野村総合研究所)にもち込み、予測を立ててもらいました。それによると、年間七%の解約率が想定される。つまり、二万台ならば、年間一四〇〇台が解約されるだろうというわけです。その数字を基準にしていますが、われわれはあくまで安全なラインを狙う。そこで、倍の一五%の解約率を設定しました。年間三〇〇〇台が契約解除という計算です。九四年度実績で三〇〇〇台伸ばしていますから、二万台あれば、新規分でこの解約分を埋められるのです」専門家は、需給の関係からいうなら、全国に一〇万台の駐車場をつくっても問題ないという。しかしながら、この時点で一万五〇〇〇台の契約解除にあえば、まず補充はむずかしくなる。つまり一〇万台対応の組織をつくれば、ジリ貧にならざるを得ないわけだ。一〇万台のネームバリューは相当だが、経営的にはマイナスとなる。市場は肥沃と過大投資、やみくもな出店攻勢が裏目にでたチェーン企業は数多い。名前は全国的に知れたが、実際には、経営母体が次々に変わっているケースは掃いて捨てるほどあるわけだ。その轍は踏まない。これが専門家の経営哲学である。非常に積極的な面と、かなり慎重に構える部分がある。だが、大筋において、功なり名を遂げた人物(歴史上も含め)にかぎって、このタイプが多いのも事実。駐車場数の絶対的不足、動かなくなった土地(遊休地)、車社会の確実なる進行。これらを踏まえれば、駐車場は、つくれば入ると思いがちだ。しかし、土地が流動化したなら、当然ながら利幅の少ない駐車場経営は、そこから追い出される。ろくなリサーチもなしに駐車場をつくっても、車が入らないことには、収益はゼロである。現状、伸びる可能性が十分すぎるほどあっても、そんな甘い話にはウカウカ乗らない。野村総研が出した年間七%の解約率に対し、その倍の一五%を設定する。過激でアバンギャルドな面も感じるが、それと同じくらい冷静、慎重に構えるところがある。「熱い心と冷えた頭」は、昔からいわれることだ。心は熱く燃やしても、頭は常に冷えている状態がなければ、経営者としては失格なのだ。多くの失敗事例は、熱意はいいのだが、ついでに頭まで熱くなった時に起きている。抑制のきいた判断ができなければ、まず経営者としてはやっていけないだろう。三三歳で役職を投げ打ち独立、いきなり畑違いの事業界に飛び込んだ専門家は、ある部分、破天荒なところもあるが、同じくらい冷静かっ常識的な人間ではなかろうか。走りながらも、常に考えなければならないのが経営者であるが、そこにはひらめきと経営センスが求められる。そして、このセンスとは、かなり常識的な、ほかからみれば、あまりおもしろく映らない部分なのである。

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